100の読者、100の経験[057]


末武 純子

 

建築家

2018年7月12日 Yuka Fujii さんから本を受け取った帰り、地下鉄のドアに映っていた
2018年7月12日 Yuka Fujii さんから本を受け取った帰り、地下鉄のドアに映っていた

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 芹沢|いろんなことに直面したときに、それは専門外だからと言ってしまったらプロジェクト自体が終わっちゃうような気がするな。

 

港|間違っているかもしれないけれど、だからこそ言ってみる、やってみる。それが一番難しいけれど、もうそれをやる時期に来ているような気がしますね。

 

芹沢|ある種の勇気みたいなものかなあ。まあ、とにかくやってみるというのはいいですよ、ほんとうに。

p103  21行目 ー p104  5行目]

 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

久しぶりの日本での現地調査中、ある建築家がそこの風土や建築に通じていることを思い出し、著書を検索して注文しておいた。帰宅後届いていたその古本を開くと筆者のサインがあった。そしてある方宛に、恵存と書いてある。その方のことはこの間何度か思いだしていた。

 

随分前にその方、つまり本の最初の主に、私が関わったある地元サーベイについてコメントをいただくという機会があった。その山地にあった建家のがらんとした部屋で、当時渡英間近の私にその方は、なぜ彼方へ行くのかと聞いた。

 

どういう言葉でもって返事をしたのかは覚えていないが、どこでも変わらない、時間がかかってもその土地と人に聴くことを土台にデザインをするのだと思った。それから15年近く、いろんなことが少しずつ変わったし、これからもそうだろう。しかし、「やれ、そしたら出来るんだ」という師達の言葉が傍にあることを感じて勇気がわいてきた。



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