高坂 光尚
アートカフェ「フローモーション」代表/ぐるぐる作家
Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。
—————— 社会全体から見たら、分量的にもほぼ遭遇することのできない未確認飛行物体に過ぎないはずです。
しかし、だからこそ次の可能性を感じるのです。
[p11 21行目]
Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。
「読書家」というわけではなかったのですが、
「本」という存在が好きで、
いつの頃から「本屋さん」をしたいと思っていました。
初めてのバイトは高校生の頃。
帯広の藤丸デパートにあった「信正堂書店」。
新卒で入社したのは地元書店の「ザ・本屋さん」。
「本」をつくるということにも興味がありましたし、
「本」を書くというコトにも憧れがあり。
今現在、正統派の「本屋さん」ではないけれど、
曲がりなりにも「本」を扱う「フローモーション」を営むことができていて、ありがたい気持ちで一杯です。
まとわりつくように「本」に関わりのある仕事をしてきました。
そこに、「本」をつくりだそうとするテーマの「本」が届きました。
「本屋さん」がお客様へ繋がる最後の窓口だと思って今まで関わってきていましたので、なんだか円環が完成したような気持ちになりました。
『言葉の宇宙船』を読んでいて、
ネット環境での購買行動のどこに違和を感じていたのかが、
少し見えてきたようにも思えます。
「書き手」がいて、
「編集」や「造本」の人がいて、
流通のたくさんの人によって運ばれ、
そして行き着いた書店で「書店員」によって
最善のもしくは関係性のありそうな場所に並べられる。
「読み手」が出会う環境が整えられたところで、
「お客様」の経験から更に絞り込まれお買い上げです。
購入した「本」から何かを得ることが出来るのか出来ないのか。
昨今のネットによる直接購入の利便性から考えると
なんともメンドクサイ流れではありますが、
そんな中から自分の大切な1冊をみつけたときの悦びはきっと
「神秘体験」と言ってもよいぐらいなはず。
「読書体験」の前段階のエキサイティングな「購入体験」です。
あらためて「モノ」として情報や記憶や時代を抱え込んだ
「本」という存在(肉体性)には、
生々しく関わる「人」の情念が詰まっているなぁと感じた次第。
『言葉の宇宙船』が広大な空間に飛び出し、
その1冊が私に届いたのだなぁとしみじみ撫でたのでした。
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