大橋 直子
Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。
—————— では、結局、編集とは何かを考える。外国語という意味ではなく、一人ひとりが持つ固有の言語を変換する「翻訳」のような機能が近いと思うし、経験をつくるためには、意味内容だけではなく、本そのもののテクスチャー、特に「言葉の手触り」に関して誰よりも意識を働かせている存在だとも思う。
[p154 15行目 — 19行目]
Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。
本のことをすっかり忘れていた2016年12月21日、宇宙船一式が到着。父の誕生日も重なり、本を手に取ったときの時間帯や雰囲気をはっきりと思い出せる印象的な読書体験となりました。
私は、企業ブランディングを仕事にしています。広告表現やメディア対応に向き合う中で気をつけているのは、企業の実態としての人や提供価値が外部のイメージと大きくずれて、コントロールできないカオナシのような存在になってしまわないこと。企業も表現者の側面を持つので、アウトプットに「手触り感」を持つことにこだわっていました。そんなときにこの文章に出会ってとても共感し、私も言葉や編集、さらに届け方にこだわって新たな挑戦をしよう、と奮い立ったことを覚えています。
そして、このプロジェクトの読者を巻き込む編集の巧みさに加え、筆者が執筆だけでなくあらゆる工程に全人格で関わるという取り組み方は、これからの新しい働き方の根幹を提示しているように思います。
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