100の読者、100の経験[009]


花岡 美緒

 

美術作家

2017年6月30日 本を読みに出かけたパリ市内の公園にて
2017年6月30日 本を読みに出かけたパリ市内の公園にて

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— よく「共生」って言われて、それはすごく重要なことだと思うけど、やっぱり勝手にしぶとく生きていくみたいな、「自生」も大事だなと思います。

[p105 11行目 — 13行目]

 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

現在私の暮らしているパリの街では、EUという権威に対しての不満、貧富の差への疑問、移民への不快感、テロへの恐怖など日々の生活の中でグローバリゼーションとその歪みを感じます。それに伴い、美術の流れも「どのように隣人と共生するか」という問いから出発するものが増えているように感じます。

 

言葉の宇宙船は、物質的な本というオブジェを介して経験を手渡していく実験だと思うのですが、私もプロジェクトのひとつで「Onirisme Collectif」という実験を行っています。これは、来場者が同じ空間で寝ながらパフォーマンスを感じる経験を通して、夢を共有するというプロジェクトで、国籍の様々なアーティストたちと行っています。

 

まだまだ実験の途中ですが、ほかの人たちと何かをつくっていく時に、自分の足でしっかりと立ち、自分に問いかけることなしに、他人を理解し、共に生きて行くことは出来ないなということを身をもって感じています。



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